したたかに生きる女性労働者たち

私は中小企業の争議「フジビ闘争」の当該です。限られた紙面のなかですが、中小企業女性労働者の視点から労働運動の再生を考えてみたいと思います。

199311月バブル経済が崩壊して失業者が溢れ始めたハローワークの紹介で、東京の下町荒川区の資産家田中一族が経営する富士美術印刷(フジビ)の子会社フジ製版の面接を受けました。そこには1988年に結成され地区労に加盟する全労協全国一般東京労組フジビグループフジ製版分会が活動していました。

 

したたかに生きる女性労働者たち

 求人票には「9:0017:00・身分はパート」とあったのですが、入社時の面接で「8:3017:10・正社員と同じフルタイム」で働くパート労働者になりました。くしくも1993年成立したパート労働法とともにパート労働者となった私ですが、フジビでは正社員と労働時間が30分短いだけの女性パートたちが正社員の代替とされて生産現場を支えていました。また、正社員の女性たちは低賃金で役職や社員持株制度等からも排除されていたのです。

 時給820円の生活はすぐに困窮し、スカイラークチェーン夢庵のウェートレスとして夜と休日に働く複合就労を余儀なくされました。夜の職場の女性労働者たちは全員が複合就労して低賃金を補っていました。昼間は正社員で夜はパート、昼も夜も別々の職場でパート、昼も夜も同じ職場でパート、昼は自営業の女性たちもいました。複合就労が社会問題化される以前から女性たちはしたたかに生きていたのを垣間見た思いでした。そして、私は入社翌年に同期のパート社員と共に労働組合に加入しました。

 

「田中一族の組合つぶし」と「政府の中小企業つぶし」に負けない

 創業1918年の老舗印刷会社フジビは、地域で「印刷御三家」と呼ばれる中堅印刷会社の一社です。1990年に売上高が最高となり1999年に純資産を約151千万として過去最高を記録しました。社員が四分の一となった現在もほとんど純資産を減らしていません。現在、四代目社長が経営する97年間に子会社を含めフジビグループで働いた労働者は1千人を超え、その労働者たちから搾り取った利益は田中一族を地域で有名な資産家・大地主へと肥え太らせています。

 また、フジビの賃上げ額も1997年を頂点に下がり続けていますが、政府は中小企業政策を1999年の中小企業基本法の新法等を背景に転換しました。この間、中小企業では利益がほとんど出ない産業構造の転換が行われたのです。2000年に初の赤字決算となったフジビは2012年に製版部子会社を偽装破産させ切り捨てました。フジビとその歴史には日本の中小企業が衰退する縮図とその歴史が見て取れます。私たちが闘う「フジビ闘争」では田中一族を相手に闘うと共に、安倍政権の中小企業つぶしとも闘わなければならないと思っています。全国の中小企業労働者よ諦めずに団結しよう!中小企業経営者よ目を覚ませ!と訴えたい思いでいっぱいです。